介護の働き方【特養・グループホーム・デイ・訪問…】施設の種類と、メリット・デメリットを解説します

2020-08-23

「介護の仕事の働き方を知る!施設の種類と、そこで働くメリット・デメリット」アイキャッチ画像

こんにちは、「介護転職できるかな」運営のカニ(@kaigo_kani)です。

この記事では……

・介護の仕事にはどんな働き方があるの?

・自分に合いそうな介護の仕事を選びたい…

・働き方によるメリット・デメリットってある?

あなたのこんな疑問や悩みを解決します!

記事の内容

◆介護の仕事・居住系サービスの施設

◆介護の仕事・在宅系サービスの施設

私自身、介護の仕事を20年近くやってきて、転勤を含めて6種類の施設で実際に働いてきました。
実際に働いたことのない職場の情報も、仕事の仲間からたくさん聞いてきました。
そのような実体験を元にした、いろいろな施設の情報をお届けします。

介護福祉士カニ

この記事を読めば、実際にそれぞれの施設で働くイメージがわきます。

介護の仕事・施設系サービスの施設

介護の仕事・居住系サービスの施設

施設に入居されている(そこが住まいになっている)利用者さんをサポートするのが、施設系サービスの仕事になります。

24時間の対応が必要なため、基本的に夜勤がありますが、パートなど雇用形態によっては日中のみ働くことも可能です。(夜勤についてはこのあと詳しく解説しています。)

施設系サービスのそれぞれの主な違いは、利用者さんの要介護度です。
要介護度とは介護が必要な度合いを大ざっぱに5段階に分けたもので、これが高いほど日常生活に介護が必要な状態だということになります。
わかりやすく言うと、要介護度が高いほどその利用者さんは身体的にも精神的にも弱っていて、移動、食事、排泄、入浴などに、多くの介護が必要な状態だということです。

それでは、施設系の施設5種類をくわしく見ていきましょう。

介護福祉士カニ

施設の説明のあとに、「介護の仕事の夜勤について」の解説もしています。
夜勤の手当や時間帯などを解説しているので、ぜひ読んで参考にしてください!

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(以下「特養」と略します)は、主に社会福祉法人や地方自治体が運営していおり、入居されている利用者さんの要介護度が高めなのが特徴です。
特養に入居するには「要介護度3以上」という条件があるからです。

また入居期間が長い利用者さんが多いのも特徴のひとつで、ターミナルケア(余命が短いと医師に判断されたお客様へのケア)に取り組んでいる施設もあります。

メリット

介護に必要なスキルが数多く身につく
・要介護度が高めの利用者さんが多いため。
・特養で介護の仕事に慣れれば、他のどんな施設でも余裕で働けるようになります。

給料が高めなところが多い厚労省資料:94ページを参照)
・夜勤手当の分と、各種手当を整備している所が多いため。

デメリット

慣れるまでが大変
・逆に、慣れてしまえば他と比べて特にキツいわけではないです。

「人の死」に直面する可能性が、他の施設より高い
・まあこれも慣れですが。貴重な経験にはなります。

老人保健施設

老人保健施設(以下「老健」と略します)は、主に病院など医療法人の運営が多く、医療ケアやリハビリを通して在宅復帰が目標となっていることが特徴の施設です。

特養とは違って、在宅復帰が名目なのでお客様の入居期間が短いのも特徴のひとつです。

メリット

リハビリの知識・経験が得られる
・リハビリが基本的なサービスに含まれるため。
・他の色々な施設でも活かせる貴重な経験です。

利用者さんの入れ替わりが多く、新鮮な気持ちで仕事できる
・在宅復帰が目的の施設なため、1人の利用者さんの入居期間は3ヶ月から1年ほど。

デメリット

施設数がそもそも少ない
・特養の約半数。(特養:約7900 老健:約4300 厚労省資料より)

利用者さんの入れ替わりが多く、その都度お客様のことを知る大変さがある
・メリットと表裏一体ですね。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、民間の企業が運営する老人ホームです。特養と比べて入居している利用者さんの要介護度が低めなのが特徴です。(要介護度1から入居可能なため)

運営が民間企業なため、経営者の方針によって建物が豪華だったり、介護スタッフにホテルマン並の接遇が求められたりと、施設によって特色が大きく違う、それ自体が特徴といえます。

ブラックな会社もあれば、超ホワイトな会社もある。介護の理想を追いかける会社もあれば、効率だけを追いかける会社もある。といった感じですね。

メリット

自分にバッチリ合う職場が見つかる可能性がある
・介護の仕事の経験者じゃないと、発見するのは難しいかもしれません。

経営する会社によってメリットは様々
・給料が高い、自由度が高い、資格取得サポートが充実、研修体制が充実、など。

デメリット

◆「有料老人ホーム」だからこう、という決まった傾向があるわけではないので、事前にホームページや見学などでどんな施設を見極める必要がある
・これも経験者じゃないと見極めるのは難しいかも。

経営する会社によってデメリットも様々
・手当が不十分、効率重視で締め付けがキツい、経営者がアホ、など。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅はよく「サ高住」と略されます。民間の企業が運営する場合がほとんどです。(制度上厳密に言うと在宅系なのですが、働く側の視点からこちらに分類しています)

利用者さんの要介護度は高くても3くらいで、日常生活動作(ADL)がほぼ自立されているお客様も多いです。

基本的には高齢者向けの賃貸住宅で、安否確認以外の介護サービスはオプション的な位置付けになっているのが特徴です。

ただ最近は介護サービスを充実させているサ高住も増えてきており、事前の確認は必要ですね。

メリット

見守りなどあまり体に負担がかからない業務が多い傾向
・まあ仕事がラクだよ、と。体動かしたいという人にはメリットじゃないかもしれませんが。

デメリット

身体介護(移動、食事、排泄など)が必要ない利用者さんが多いため、スキルがなかなか身につかない傾向
・経験しないと身に付かないことは多いので。

会社によって提供するサービスが違ってくるので、事前にホームページや見学などでどんな施設を見極める必要がある
・見極めるには、見るだけじゃわからないことも多く経験が必要。

グループホーム

グループホームは認知症ケア専門の居住系サービスで、少人数(1ユニット5~9人、2ユニット18人が上限)の利用者さんを対象とした家庭的なサービスが特徴の施設です。

食事を用意する調理が仕事に含まれている所が多いことも特徴になります。入居されている認知症の利用者さんと食事、洗濯、掃除など家事を一緒に行って共同生活をサポートするイメージ。もちろん、利用者さんの状況によって家事よりも身体介護が中心の施設もあり、一概には言えません。

メリット

家庭的でアットホームな雰囲気がある
・少人数がお相手なので利用者一人ひとりと、深く関われます。

利用者さんの要介護度が高くないため、初心者・無資格でも働きやすい
・家事と認知症の方に対するコミュニケーションが主な仕事、みたいなところがあるので。

デメリット

認知症特有の言動に慣れるまでが、人によっては大変
・認知症専門なので、どうしても慣れることができない人にはキツい。

利用者さん、職員ともに人数が少ないのせまい世界なため、それが苦手な人には向かない
・メリットの逆ですね。こういうのが苦手な人はグループホームは避けた方が無難です。

【コラム】介護の仕事の夜勤とは

介護の仕事の一般的な夜勤について解説しておきます。

夜勤手当は1回につき3,000円から6,000円が相場
・私は1,500円の職場で働いていたことがあります。聞いたことある中で最高額は8,000円。

夜勤の勤務時間は大きく分けて2種類
・8時間夜勤は22時から翌7時(休憩込み)。16時間夜勤は16時から翌10時(休憩込み)。
・8時間夜勤は仕事終わったその日が休み扱い。16時間夜勤は仕事終わった日の翌日が休日(例外あり)。どちらがいいかは好みですねー。私は8時間派。

夜勤って大変ってイメージがあるけど、個人的にはそうでもないと思ってます。
・朝食前に起こすのがちょっと大変くらいで、あとはむしろラク。
・だって夜だから利用者さんほとんど寝てるし。
・昼夜逆転の利用者さんがいたり、急な体調不良などのトラブルがあれば大変ですけどね。

介護の仕事・在宅系サービスの施設

介護の仕事・在宅系サービスの施設

ご自宅で過ごされている利用者さんをサポートするのが、在宅系サービスの施設・職場での仕事になります。

通所系の施設(利用者さんの自宅から送迎付きで施設に通ってもらう)と、訪問系の職場(利用者さんの自宅にこちらから訪問する)の2種類があります。

通所系はデイサービス、訪問系は訪問介護、それと両方の機能を持った小規模多機能型施設の3つを解説していきます。

介護福祉士カニ

番外編として、介護サービスではないですが訪問系と似た職場として「家事代行サービス」も解説しています。

デイサービス

デイサービス(通所介護)は、ご自宅で暮らされている利用者さんが、日中の時間帯に利用するサービスです。

一日の基本的な流れは、朝ご自宅にお迎えに行って、入浴、昼食、レクリエーションやリハビリを行い、夕方にご自宅までお送りするといった感じ。

ただ最近は特化型デイサービスというのも増えてきていて、入浴・食事なしで機能訓練だけのデイサービスだったり、宿泊も受け付けるお泊りデイサービスなど、様々な形態のデイサービスもあります。

メリット

基本的に夜勤がなく、日曜が休みの所も多い
・お子さんのいる人にとってはありがたい点なんじゃないでしょうか。

利用者さんの要介護度が高くないため、初心者・無資格でも働きやすい
・介護技術よりコミュニケーション能力が問われることが多いです。

デメリット

給料が安い
・夜勤が無いことと、専門性があまり求められないことが原因です。

身体介護(移動、食事、排泄など)が必要ないお客様が多いため、スキルがなかなか身につかない傾向
・経験しないと身に付かないことは多いので。

訪問介護

訪問介護は、利用者さんのご自宅に直接うかがって身体介護や生活援助のサービスを提供する仕事です。

一番の特徴は、基本的に訪問先で利用者さんと1対1でのサービス提供となること。これは気楽だと感じる人もいれば逆に不安と感じる人もいるでしょう。
また、訪問先の利用者さんによって提供するサービスが違うのも特徴です。

似た仕事で「訪問入浴」というのもあります。
これは訪問介護とは別のサービスで、入浴機器を搭載した特殊な車両で利用者さんのご自宅を訪問して入浴のみを提供します。

メリット

パート契約だと、ライフスタイルに合わせた働き方ができる
・勤める会社によりますが、直行直帰OKだったり、空き時間に1件2件こなすといった働き方が可能なことが多いです。

時給が高い
・厚労省のデータから、介護の職種別で時給換算では訪問介護が一番時給が高い、との調査結果があります。(詳しくはこちら)

人間関係のトラブルが少ない
・仕事は訪問先で1人でやるので、介護の職場の悩みで上位の常連「人間関係のトラブル」がほぼ無いのは大きなメリットでしょう。

デメリット

訪問先ごとに、それぞれのこだわりや環境の違いがあり慣れるまでが大変
・生活援助だと物の置き場所など、介護面では布団とベッドの違いなど、どこでも通用するマニュアルというものがありません。もちろん慣れてしまえば逆にメリハリがあっていい、ということにもなり得ます。

資格が必要
・訪問介護に従事するためには「旧ホームヘルパー2級」か「介護職員初任者研修」どちらかの資格が必要です。
「介護職員初任者研修」についてはこちら

小規模多機能型施設

小規模多機能型施設は、通所、訪問、宿泊のサービスが一体化した施設です。

登録定員は29名で、登録したお客様が必要に応じて3つのサービスを使い分けられる、というのが特徴の施設。宿泊サービスがあるので、デイサービスや訪問介護と違い夜勤があるのも特徴のひとつです。パート契約ならば夜勤がない場合がほとんどです。

メリット

定員が少ないため、一人ひとりのお客様と馴染みの関係が作れる
・一人ひとりと向き合えるので、利用者さんとより深い関係が築けます。

幅広い経験が得られる
・通所、訪問、宿泊と、1つの職場で3つの種類の仕事が経験できるため、介護の仕事の総合的な対応力がつきます。

デメリット

定員が少ないために、同じ利用者さんの対応ばかりで飽きる
・メリットと表裏一体の部分ですね。向き不向きがあるとは思います。

専門的な介護のスキルは身につきにくい
・要介護度が低い利用者さんが多いため、特養などで即戦力になるようなスキルまでは得られないことが多いです。

【番外編】家事代行サービス

家事代行サービスは、利用者のお宅を訪問して希望される掃除や洗濯、買い物などの家事を行う仕事です。

介護の仕事ではないので、資格は一切必要ありません。

介護保険サービスとは直接関係のない仕事ですが、訪問系の介護事業者が運営していることも多いため解説します。

メリット

介護事業と併設なら、働きながら必要な資格が取れることが多い
・大手の会社なら、資格取得の費用サポートまで付いていたりします。

パート契約だと、ライフスタイルに合わせた働き方ができる
・訪問介護と同じメリットです。直行直帰OKだったり、空き時間に1件2件こなすといった働き方が可能なことが多いです。

デメリット

介護とは関係がない
・じゃあなんで載せたのか?それは上のメリットが大きいから。介護の事業所で家事代行サービスもやっている所は、無資格・未経験の方にかなりおすすめ!

介護の仕事は超売り手市場!
働き方を見極めれば「良い職場」は必ず見つかります

日本は世界が注目するほどの高齢社会です。
65歳以上の高齢化率は、今後ますます増加します。(参考:内閣府「令和元年版高齢社会白書

それにともなって、介護職員の不足は今後数十年続くことは確実です。
介護のスキルを身に付けておけば仕事に困ることはなくなり、人生100年時代を安心して暮らすことができるでしょう。
その意味で、介護の仕事に興味を持ったあなたはいいセンスをしていると私は思います。

この記事でくわしく解説した、仕事の種類ごとのメリット・デメリットと自分の特性をよく照らし合わせれば、良い職場はきっと見つかります。

また、介護の転職は「探し方」もとても大事な要素です。
探し方ひとつでブラックな施設を当たる確率が大幅に上がったりします。

介護の転職先を探す前に、こちらの記事も読んでみてください。